CR(コンポジットレジン)修復

目次

白いプラスチック

MI(ミニマルインターベンションとは)

CR修復治療の流れ

隔壁って重要

実際の症例

 

「白いプラスチックを詰めますね」

そんなセリフを聞いたことがあるかと思います。
それがCR(コンポジットレジン)修復。
これには保険診療としての治療と、自費診療の治療があります。自費の場合は何故か「ダイレクトボンディング」と名前を変えますが、
サクラ歯科医院では自費のCRをやってないのでなんでダイレクトボンディングと名前が変わるのかよくわかりません。
ただ、保険診療では使っていい材料が決められているので、適用外の材料を使っての治療の場合は自費になります。

CRはそれが出てきた当初は今とは大きく異なり、液と粉を混ぜて固まってくる間(化学重合)にむし歯を取り除いた穴に埋めるというやり方でした。色調もイマイチ、混ぜるから気泡も入る、作業時間の制限もある、硬さなどの物性もよろしくない。と不評だったようです。

それから紫外線を照射することで固まる(光重合型)の1ペーストタイプのCRが出て、紫外線から可視光線(といっても青とか紫)で固まる材料に進化、物性や色調、艶、接着力とどんどん向上していきました。

コンポジットレジン

使える範囲も広がり、それを可能にする便利道具も多く発売され、今は削る治療の大きなポジションを締めるに至っています。

ただし、最初に書いた「プラスチックを詰めますね」は少々誤りがあります。
レジンは樹脂、つまりはプラスチックではあるのですが、成分の最も比率が高いのは「セラミック」です。セラミックのナノフィラー(極小の粒々)をレジンで固めているのです。
なので正確には「白いセラミックを詰めますね」だったりします。

MI(ミニマルインターベンション)

最小限の侵襲、という意味です。
削った歯は元に戻りません。どんなにキレイに修復してもそこはニセモノだし継ぎ接ぎです。
その境目から次のむし歯が出来る可能性も出てきます。

そのため出来るだけ余計な削りはしないほうがいい、という概念です。

取り除くべきむし歯だけを取り除いて、そこだけピンポイントでキレイに埋める、という感じですが、それを充分に可能にしたのがCR修復になります。

カリエス(MI説明)カリエス除去(MI説明)
たとえば上の絵だと一つの歯に2つにむし歯があって、これがCR以外の一般的な治療方法になるとインレー修復という治療法になります。保険治療上ではいわゆる金属の詰め物です。

インレー(MI説明)
別にインレー修復の治療が悪いというわけではありません。下手くそなCR修復をされるならインレーの方がよっぽどいいのです。
ただ、やはり問題のない箇所まで削る場合が多いのです。

それがCR修復になると、だいたいそこだけの治療となります。
そういうところがMIに最適な治療というところです。

CR(MI説明)

ただし。

MIの究極は「削らない」

削らないように、つまりはむし歯を作らない状況を維持する、もしくはむし歯ではあるけど切削介入をしないで済むようにする、ということが大事です。

サホライド(C)によるむし歯の進行止めが有効の場合もあります。詳細は違うページで。

CR修復治療の流れ

介入すべき状況のむし歯である場合、削っていきます。

CR:左下6カリエス

その際は、色、硬さを見つつ、う蝕検知液も参考にして削っていきます。

CR:左下6カリエス除去

削り終わると、次に充填処置です。

四方が全部歯質に囲まれている状況だと、その削った穴(窩洞)に詰めていくだけですが、
歯と歯の間に窩洞が至る場合、歯の形態を再現するために、いろいろな器具を装着します。

CR:左下6充填

ストリップスとかマトリクスと呼ばれる透明なプラスチックだったり金属製だったりする型枠?、スキマをシッカリと埋めるためのウェッジやシールテープ、歯と歯の間が緩まないようにする器具を付けます。

そしてそこにCRを歯の形に沿うように詰めていくのです。

詰めた後は咬み合わせを見ながら調整し研磨していきます。

CR:左下6充填後

 

器具の装着を無視したら・・・

四方が歯質に囲まれていたり、隣の歯がなかったら器具を装着する必要性はほとんどないのですが、
歯と歯の間(隣接面)の虫歯の治療の場合は隔壁が必要になります。

カリエス除去(隔壁解説)
虫歯を取り除いて、
隔壁装着(隔壁解説)
このように隔壁を作って歯の形態を再現するのが、これをしないで埋めると、
はみ出しCR(隔壁解説)
当然CRははみ出ます。はみ出たところをそれっぽく削っても歯と歯の間の形態は再現できません。

 

歯と歯の間が変にくっついたり、形態が歯の形態をしていないので食べかすがハマったり、歯周病や次のむし歯を助長させることになります。

院長によるCR修復の症例

以下、院長の症例のいくつかです。患者さんの許可は得ています。

患者1:保険診療(30分枠)
患者1-1
写真真ん中の下顎第2小臼歯(5番)、古いアマルガム治療にヒビが入っています。
患者1-2
そのため内部のむし歯が多くありましたが全部取り除きました
患者1-3
CRでキレイに修復できました。

患者2:保険診療(30分枠)
患者2-1
上顎第2大臼歯(5番)のインレーの境目からのむし歯
患者2-2
外すと歯肉付近からむし歯が入り込んでいました
患者2-3
それを全部取り除いて
患者2-3
このように詰めました。自費診療だと溝に隣の歯のようなステイン(着色)を施したりする場合がありますが、ステインの材料は保険外です。だからというワケでもないのですがやや立体感に乏しい感じですね。

患者3:保険診療(30分枠)
患者3-1
下顎第1大臼歯(6番)インレーが外れっぱなし+むし歯でした。
患者3-2
かなり深いむし歯でしたが全部取り除き、
患者3-3
こんな感じで充填しました。

患者4:保険診療(30分枠)
患者4-1
下顎第1大臼歯(6番)の詰め物の下、また新たに歯と歯の間にむし歯がありました。
患者4-2
範囲が広く、また第1大臼歯と奥の方の治療になるのでCRにするかインレーにするかギリギリでしたが、
患者4-3
こんな感じで修復できました、が、このケースではインレーにする可能性も充分にあり得ます。

患者5:保険診療(1時間枠)
患者5-1
親知らずのせいで第2大臼歯(7番)がむし歯になったケース。
とりあえず最初はむし歯にセメントを流してモノが詰まらないようにしました。
後日時間を取って、
患者5-2
セメントを除去して(写真は手ぶれしてます)
患者5-3
第2大臼歯のむし歯だけを全部取り切りました。その後CR充填しやすくするために、出血させないように気をつけながら親知らずを薄くスライスしています。
患者5-4
このようにCR充填しました。親知らずはというと
患者5-5
当然、抜歯しています。
患者5-6
これは通常は抜歯をして歯肉が落ち着いてから第2大臼歯の充填がセオリーではありますが、
抜いた際の歯肉の治り方の予測や、むし歯の深さなどから同時に処置した方がメリットが大きいと判断しています。