ONJ

ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)と呼ばれる薬があります。主に骨粗鬆症の薬として使われます。
骨吸収を抑制する作用があることから使われるようになりましたが、
歯科においてBP製剤を服用している患者さんを抜歯して、そこが感染、顎骨が壊死し、壊死組織(腐骨)を取り除いてもそこからまた壊死するという難治性顎骨壊死(ONJ)が2003年に発表されました。
(BP製剤由来のONJをBRONJといい、他の薬由来のONJを薬の頭文字からDRONJというのもありそういうのを包括してARONJとも言うようです)

これに歯科医師は困ってしまいます。

BP製剤は骨粗鬆症の薬として非常に有効性の高い薬のため多くの人が服用ないし注射しているためです。

下手に外科処置出来ない!

しかもARONJのメカニズムは今も十分に解明されていません。

 

で、最初の頃は3か月休薬してから抜歯し、骨の回復を待つ意味で3か月後に休薬を停止する、というガイドラインになりました。

その後、服用が3年未満(たしかそうだったはず)の患者さんはリスクが低いため休薬なしでも問題ない、3年以上は休薬、という感じに変わりました。

で、最近では休薬しない。となりました。

 

理由は、休薬してもしなくてもONJの発生率はほぼ変わらず、BRONJの発生率は0.001%~0.01%で、このリスクはBP製剤を休薬する事によって生ずる骨折リスクより低いからです。
いやまぁ0.001%だろうとONJが発生しちゃえば患者さんは大変辛い思いをするのですが、これはまぁ先日コロナワクチンについて書いたリスク-ベネフィットと同じです。
それいったら何の治療も、何の薬も出来なくなります。

プラス、
4年以上継続している方で、糖尿病など他の易感染リスクを持っている場合は医科へ相談、という感じだそうです。
また、結局の所感染が契機となるので事前に抗菌薬を投薬とかも。

口腔内を清潔に保つ事も必要不可欠なので、
望ましいのはBP製剤等を服用開始する前に歯科と連携して口腔清掃、虫歯の治療、抜歯が必要な歯を抜歯しておくとかがあるのですが、
医科が歯科にこの件で連携を求めることは未だに少ないらしく、歯科側も困ることが多いようです。
歯科の側も知識不足もありますが。

 

状況や得られた知見に応じてやり方は変わっていきます。

血をさらさらにする薬、抗凝固剤はかつては観血的処置を行う際は1週間ほど休薬してから行う、というのが一般的でした。

今は休薬するとその抗凝固剤を服用するに至った理由、脳梗塞や人工弁などへの対処などなど、それのリスクが高まることと、1週間ほど休薬したからといって得られる止血効果からしたら、リスクの方が勝っている事から最近は休薬する事はほぼなくなりました。

縫合や止血剤等で対処する事になっています。

ソレと同じようにARONJにおける対処も休薬がなくなったということです。

 

というこの内容は、日本骨代謝学会にある「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016(pdf)」を主な資料としました。

これがまた僕の無知のため盛大に勘違いしていたのですが、

「ポジションペーパー」とはなんぞ?

 

ポジショントークという言葉があります。Wikipediaによると
「日常生活におけるポジショントークは、自分という個人がどうであるかによらず、組織や社会において自分に期待されている役割によって行っている発言のことである。
そのため、自分自身としては必ずしもそうは思わないけれども立場上そう言わなければならない、あるいは自分自身にも問題があるとわかっているが立場上言わなければならない、というものもある。」

というように、そっち側にたった発言という意味でポジションペーパーを最初間違って理解してたのですよ。
医科側、製薬会社側にたった論文を、ポジションペーパーって言うんだろうって。

アホです。

ポジションペーパーとは
「「立場表明書」の意味。
クレームトラブルが発生した時、クレームの相手と見解の相違や意見の対立などが起きた場合に、事態の発生から直近に至るまでの経緯を時系列にまとめた報告書。
その時々の対応や話した内容、相手の主張や要求などを詳細に書き込み、相手側の一方的な主張に対して、その相手をはじめ、マスコミや消費者団体などの第三者へ会社側の正当性を主張するために用いる。
公正で透明性があることを訴求できる内容にするため、相手側の主張や論点も時系列に沿って書き込み、その上でこちら側の反論、主張を明示し、会社側の正当性をアピールしていくことが大切となる。」

まーったく違っていました。

 

抗凝固剤やBP製剤への対処の変遷もそうですが、無知は罪です。