男前

これは人によるし、あくまで個人の感想なのですが。

老若問わず、ぐらぐらの乳歯や不具合の多い親知らず含め「歯を抜く」という行為を勧めて、さらっと了承する割合は、圧倒的に女性が多い。
そして、デモデモダッテと抜きたがらないのは圧倒的に男性が多い。
子供だったらいざしらず、いい年して、指でも抜けるんじゃないの?という残しておくことに何のメリットもない、当然抜くデメリットもない歯であっても。

 

もっとも、僕も抜きたがらない大人に属する方なので気持ちはわかります。わかるから無理強いはしません。注射キライだし。

 

だからというか、親知らずなどを抜くことを勧める場合、メリットデメリットを痛みや未来での可能性、感情のレベルまで勘案して説明していますが、この感情のレベルというのがなかなか難しく、合理の範囲を軽く飛び越えるわけです。

なので、抜いた方がいいのは決まり切っているけど、とはいえこりゃ抜くには大変そうだよな、という歯を説明していく中で、
あっさりと「あ、じゃぁ次回抜きます」と事も無げに言われると逆にこっちがビックリして思わず
「男前だなぁ」
とつぶやいてしまうのです。内心「俺の話ちゃんと聞いてた?腫れるよ、大変だよ?」と焦りもしますが。

 

さて、この「男前」というワード。男性にも女性にも使って良かったんだろうか?とか、男前の反対語って何だろう?とか、ポリコレ棒で叩くことが大好きな人達から言葉狩りに遭わないだろうか?とか、考えてしまいます。

コトバンクにあるデジタル大辞泉だと、
「男前」は、
1 男としての容姿。特に顔だち。「男前が上がる」
2 「男振り2」に同じ。美男。「男前の役者」
3 性格や態度が男らしいこと。男気があること。

とあります。
僕が使う「男前」は3の性格や態度が男らしいこと。にあたると思いますが、そうなると困ってしまうのが、先の個人の感想になる「男の方が抜くことにためらう割合が多い」ことと矛盾してしまうのです。デモデモダッテ男子が男らしいと?

かといって、実際女性の方が抜くことをあっさり了承する度胸と理性があるからといって、それを「女らしい」と評するのはやっぱり変な気がします。

この「変」という感じが僕の古さと言われてしまえばその通りなのかもしれませんが、それをいったら昔の文学への理解が成り立たなくなってしまう。その時代におけるテンプレって大事。
といっても、70過ぎの爺ちゃんがデモデモダッテ言うのだから、「男らしい」=「凜々しい」、「女らしい」=「女々しい」という図式は昭和的な考え方だ、というのもちょっと違う感じ。

じゃぁ明治時代は?江戸時代は?というとどうだったんでしょう?
どこまでホントかわからんけど、女性は生理や出産という痛みに備える強さを持っているから男性より痛みに強い。とするのならば時代関係なくこと痛みに関しては男の方が女々しい、のか?

ここはよくある「痛い」「怖い」ことと、「逃げない」は違う、という格好良さに繋がるのか。
と言いたいけれど、デモデモダッテと合理を投げる男が格好良いとは言えず・・・・。アレか。「戦略的撤退」ってヤツか。いや意味不明か。

そうなると前提条件がそもそも間違っているのかもしれない。大変そうな抜歯に対してすぱっと「よし抜こう!」と了承する行為を「男前」と評することが間違っているのかもしれない。
・・・・間違ってる?間違ってるかなぁ・・・?

「格好いい!」が正しい?

 

うーん・・・どうも僕は車田正美的男らしさとか、ポルコ・ロッソ的格好良さに縛られてるのか?

 

脱線しまくり。

男前の正確な反対語はないらしい。
なぜなら男前という言葉は歌舞伎から生まれたから。らしい。
まぁ近い反対語だと、女ぶりとか別嬪さんとかあるみたいだけど。

そんなことを調べていたら、男前の類義語として「ナイスガイ(nice guy)」がありました。日本語でのナイスガイは外見比重が高いようですが、英語としてのnice guyは内面比重が高いようです。
だから女性にもnice guyと言っていいようですが、先のリンク先では次に、
”女性に対して「nice guy」と言いたい場合は、「nice person」を使います。「nice woman」「nice girl」と言うより「nice person」という方が無難です。「女性、女子」という単語を使うと「男性から見て」というニュアンスが含んでしまうので、内面がよいと言いたい場合は「person」と言った方がいいでしょう。”
と続きます。
その配慮がそこはかとなくポリコレ感が。じゃぁなんでnice guyという単語は残ってるんでしょうね。