あごこり

昨日(6月12日)のNHKガッテンは「あごこり(顎関節症)」のお話でした。

最近のガッテンは番組構成がサプリメントの深夜の通販みたいなのが気に入らないのですが、それでもなんだかんだでNHKなので民放ほど胡散臭くなく安心して見られるというか。

これが民放だとやたら仰々しくかつ胡散臭くかつ針小棒大かつ驚愕の最新治療!とかエビデンスの無い民間療法を絶賛したりとか、変に毀誉褒貶があったりしそうですがね。

 

最初、「あごこり」という単語はともかくとしても、資料として提示しているフリップの出典が「日本あごこり学会」なんて書かれてあったから、
「はぁ?何そんな胡散臭い学会から出してんの?普通、日本顎関節学会でしょーが!!」と怒っていたのですが、

「あごこり」という単語を前面に出すために「あごこり」部分をシールで貼っていただけで、実際はちゃんと日本顎関節学会でした。よかったよかった。

 

引っかかる点と言えば、顎関節に関わる筋肉は「咬筋」「側頭筋」だけじゃないだろうに・・・と思ったり、最近は運動療法だっていうところに、「最近???」と思ったり。
重度の顎関節症だと歯を削るってのにも若干「?」と思ったり。

とはいえ、NHKなので、どちらかというと僕が普段から説明しているコトが間違ってないよな・・・とドキドキしながら見ていたのですが、おおむね間違ってなかったので一安心。
番組で勧めていた開口訓練もお手軽で、今度患者さんに説明しようかなと思ったり。(やり方はリンク先にあります)

 

肝心の原因について言わないなぁ・・・・と思ったら最後の方で。

ただし、日中のかみしめ、医科歯科の木野先生あたりが提唱しているTCH(Tooth Contacting Habit:歯の接触習癖)のみだったので、
「いやいや、それもかなり重要だけど、それだけ、じゃなかろうに・・・」という気分。

僕は普段患者さんには、木野先生が言う「積み木理論」(複数の原因が積み重なって症状を引き起こすこと)を説明した上で、

「簡単に言うと、『歯、顎、顎を動かす筋肉に強い力が加わっている、または力が加わり続けている。また、歪んだ力が加わっている、加わり続けている』ことが積み重なって、限界を超えると何らかの症状が起きるんですよ。」

とか言ってます。

それが具体的には、夜中の歯ぎしり・食いしばり(過剰な力)、日中のかみしめ(連続的な力)、ムダにガム咬むとか硬いモノがんがん好きとか、カラオケ大好き、頬杖(歪んだ力)、うつぶせ寝(歪んだ力)などなど言いながら。

「だから、足を捻挫すると、走らないですよね?、酷いとギプスをして動かさず安静にするのですが、口はそういうわけにもいかないから、ある程度落ち着くまでは出来るだけ安静の方向にしてください。出来るだけ積み木を取り除く方向で」

 

それにしても、です。

歯ぎしり・食いしばりの原因は?というと、成長期の場合は不安定な咬み合わせに対して探すように歯ぎしりしているという説もあるらしいのですが、基本的には「ストレス」
TCHは、気づかぬ悪習癖が多いのですが、ガッテンでは小さく「ストレス」と書かれてありました。

この「ストレス」。そうなんだろうけど、あまりに都合の良い万能ワード過ぎて、あまり使いたくないというか・・・。

なんか、占い師が「あなた、何か悩みがあるわね?」なんて言っているのと同じようなモノで、現代社会でストレスに晒されないで生活している人がどれだけいるんだってコトですよ。

占い師はその発言からコールドリーディングして何らかの相手の押してもらいたい背中を押したり、あえて踏みとどまらせたりして話を進めていくわけですが、

医科の病院に行ってもかなりな確率で出てくる「ストレス」。この得体の知れないわかりやすくてかつわかりにくい「ストレス」は、
「ストレスですね」と医者から言われるそれが既に「ストレス」だってくらいにわかりづらい。
医者が言う「ストレスですね」は、占い師と違って、この時点でほぼ思考停止。
医者は更に「なのでストレスフリーの生活を心がけて下さい」なんて答えにならないような文言を口にする。
(顎関節症のセミナーに行ったとき、実際に講師は先の言葉を言ってました・・・・)

さりとて病の原因である「ストレス」の原因を探るのは普通の医者・歯医者の役目では無く精神科とかカウンセラーの範疇になったりで、それがまた患者にとっては困りもの。
一応僕は結構カウンセラーのように聞くんですけどね。
(とはいえ、所詮は歯医者ですから、聞いてせいぜい共感する以上のコトは出来ないんですけどね)

 

だから、ガッテンでは30年前のナイジェリア人は顎関節症が極めて少なく・・・・という論文があって、なんて言っていましたが、顎関節症は、現代病の側面も大きいでしょう・・・。

 

なので僕は、患者さんに最後に、
「顎関節症は、一旦治って落ち着いても、あなたの身体にとってのウィークポイントになっているので、また負担がかかってきたら症状が出る可能性はあります。顎関節症を識って共存して症状を出にくくするようコントロールするしかないです」
と言っています。

僕も30年以上顎関節症ですしね。
(中学生の頃からクリック音があり、卒後2年目に開口障害が起きました。教授係だったのがストレスとしての原因だったんでしょう。安静にした後、開口訓練を行い、ズレた関節円板を更に前方に押しやり今はどんなに疲れても開口障害は起きません。が、顎が重いな、という自覚はたまに出てきます。仕事中も喋ってますから・・・)