言い方

「前に行ったクリニックで怖くなった。」

というコトでウチに来院される患者さんもいます。それはおそらく逆もしかり。
話を聞いていくと、ますます僕も気をつけないとな、と思うことしばしば。

というのは。

 

その先生曰く。
「骨の中が腐って溶けている。治療しづらいから歯ぐきを切って開いて取り除かないといけない。」

 

「あー・・・・それは・・・・」
字面だけで見たらそりゃもうおどろおどろしいスプラッター発言ですよ。患者さんが怖がるのもわかる。そもそも前段として、それが理由で受診したわけじゃないのに、痛くもない歯に対してそんなこと言われたから。

が、その先生の言うことも同業なのでバッチリ理解できる。
困ったモノだ・・・。要はコレのこと。

 

 

というわけで、補足説明。
「根っこの治療をされたあと、根っこがクネクネと曲がっていたからやむなく取り除ききれなかった、居てもらいたくない細菌がゆっくり内部で悪さをして、痛くもないのに中で弱く炎症を起こして結果、膿が溜まってきてそのせいで骨がなくなってきているのですよ。
そんな状況なのに痛くないのはよくあります。
で、本来は被せモノとか土台とか外して根っこの治療を上からやるんですけど、さっき言ったように根っこがクネクネしているから、ちゃんと治療が出来ない可能性が高い。
ので、やむなく外からその膿の袋や治療しきれない根っこを取り除くんですよ。」
ということを絵を描きながら説明。

その上で、
「と、説明をするとどうしても長くなってしまうから、僕らは簡単に説明しようとすると『腐っている』『溶けている』とか使ってしまいますが・・・・まぁ、恐ろしいですよね・・・」

 

また、コレは患者さんには言ってないし、先生の言うタイミングにもよるけど、口全体を撮るレントゲン写真(パノラマX線写真)を撮ると、主訴以外の見逃せない問題も写るから、そりゃ説明する義務があるわけです。
言わなかったら言わなかったで、いざ治療しようとする段になって「え?今までそんなこと言わなかったじゃん」となる場合も。
さりとて、最初から全部言っちゃうと先のように「いやいや、自分は前歯がおかしいって来てるのに全然関係ないこと言ってるし。」となっちゃう場合も。

ここらへんは僕らのあるあるネタなのですが、

では、最初に説明するにしても、僕がしたように長々と説明するのが正しいのかというと、やっぱり主訴と関係ないことだから、患者さんの関心もどうしても薄い。薄いのに長々と説明されても半分くらいは右から左でしょ。
いかに関心を持たせられるようにするかが、説明上手か説明下手かの分かれ目の一つだと思うのですが、
まずは注意喚起の意味で簡単に説明した結果が「腐っている」発言になったんでしょうが・・・・・

どれが正しいのか未だによくわかりません。

患者さんによって性格は異なるし、来院された状況も異なるし・・・。

今回は前医の発言で怖いと思った、という前提があるからこそ関心があり、長い説明でも受け入れられたと思うのですが、そうじゃなかったら僕の説明はどう捉えられたんでしょうね。

僕は説明しながら患者さんの関心度合いというか空気を察しながら説明の長さや深さを変えるようにしているのですが、
そもそも僕は人の空気を読むのが下手。

 

占い師や詐欺師やナンパマスターの基本装備の一つとして「コールド・リーディング」があります。
これは会話の中で出てきた断片や、微妙な態度や表情から情報を読み取る技術で、相手からの信頼を得る、誘導する手法です。
(ちなみに、事前に依頼人の情報を収集しておいて、さも『言わなくてもあなたのことはわかってますよ』然とする技術を「ホット・リーディング」と言います)

この方法は僕らにも当然使える技術ですが、この方法は関心がないものに関心を向けさせることではないので、
まず会話に情報を振りまいてさりげなく関心を向けさせて、その反応からたぐり寄せるように持っていくようにするんでしょう。
いくつかの心理学系の本を知識として読みはしましたが、読んだことと実践できるかはまた違うし・・・。

 

生きた話術ってのは難しいですね・・・