空飛ぶタイヤ聴了

池井戸潤氏の、三菱自動車リコール隠し事件を基にした「空飛ぶタイヤ」(上下)をaudibleで聞き終えました。佐賀を回っている間に。

 

 

以下ネタバレを含みます。

 

 

上巻を途中まで聴いていた時は、赤松運送四面楚歌状態から、ホープ自動車の沢田が赤松側に動くのかな、と思っていたけど、まだ下巻もあるから赤松復活の兆しはまだまだだろうなぁ。
と思って下巻に突入。
沢田は結局懐柔されるし、次から次への赤松四面楚歌。光明の兆しが見えたかと思うと更なる不安と絶望。
ジャーナリストのスクープで節目が変わるはず、と思ったらスクープ記事は圧力によりお蔵入り。
赤松社長、死を覚悟する半歩手前まで追い込まれていたけど、
最終的には、他の似た事故とその調査結果からリコール隠しを明白にする文言が出てきたことと、
懐柔された沢田が、実は飼い殺し状態であったことから、ホープの社内政治に嫌気がさし、ホープ側が完璧に隠蔽したはずの証拠を警察に出し、それが決定打になってホープ腐敗の元凶を逮捕するに至り、
赤松運送勝利(?)
ホープ自動車はその企業体質からグループからも見放されセントレア自動車(トヨタだよねやっぱり)に救済合併され消滅。

という大企業相手の大逆転エンターテインメントとなっているのだけれど・・・・

 

この基となったトレーラー脱輪による母子死傷事故と、そのリコール隠しという事実があり、赤松運送のモデルとなった運送会社は実際は倒産しているとか、ホープ自動車の基である三菱自動車は存続していることとか・・・・

事実を基にし、著者がせめて小説では、としたこの結末も、現実がこうである、と知ると心から喜べない。小説として一流に面白かっただけにね。

また、もしこの小説の通りであったとして、一部の上層部の腐敗のせいで、大部分の真面目にホープを愛し捧げてきた社員が、販売店の幾百が路頭に迷うのかと思うと、それはそれで、被害者は赤松運送や柚木家族だけじゃ無いんだよなぁという気持ちにもなってしまいます。

 

事実を基にした、そして事実と終幕が異なるフィクションだからこそ、素直に楽しめない感じになりました。