「君の膵臓を食べたい」読了

若干のネタバレあります。

 

 

スタッフが「君の膵臓を食べたい」の映画を見て泣いたというので、目玉のデトックスでもしようかと、原作小説で、kindle版を購入。
映画版は原作の時代の12年後で過去(原作小説時代)を思い返す設定になっているようですね。

最初、読み進めるのが時間の浪費と思えるくらい、起伏も無ければ引き込まれることも無く、何より主人公に魅力が一切無い。
途中で、「これはもしやライトノベルで一時期流行った『やれやれ系主人公』というヤツでは?」と気づいて、
「君の膵臓を食べたい やれやれ系」で検索したら、いくつかの読書レビューサイトで同様のコトを書いてあり、やっぱりかと。

やれやれ系とは

人生を達観しているかのように見せ、常に呆れたような目線で周囲の状況や人間を眺めているさまや人物を意味する語。やれやれ系という言葉を使われる場合は、その態度に反感をもたれてのことが多い。

となっています。

やれやれ系陰キャラ【地味で根暗なクラスメイト君】(本名登場は最後の最後)が病院で忘れ物かと思った文庫本の中身が「供病文庫」という私的日記だったことがわかり、その持ち主が同じクラスメイトの元気いっぱい陽キャラ「山内桜良」のもので病院で出会い、彼女は膵臓の病気で余命1年と宣告されていたことを知ることから物語が始まる。

・・・んだけど、主人公がやれやれ系で、なんでこのやれやれ系が一時期ラノベとはいえ流行ったのが理解に苦しむくらい不快。

なのでなんでこの小説がこんなに持ち上げられたんだろう?なんかいろんな賞を貰ってなかったっけ?とwikipedia見たら、

「本屋大賞」2016第2位、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 」2位、「2015年 年間ベストセラー」6位(文芸書・トーハン調べ)、「読書メーター読みたい本ランキング」1位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2015」1位、「2016年年間ベストセラー」総合5位、文芸書1位、「2016年 年間ベストセラー」総合4位、単行本フィクション1位。2017年8月時点で累計発行部数は200万部。2016年12月、第3回Yahoo!検索大賞 カルチャーカテゴリ 小説部門賞を受賞。

なのだそうだ。そしてこの作者がなろう出身だったことと、ラノベ作家から見いだされたことから、設定や文体がラノベっぽいのも納得でした。ことにこの作者のデビュー作となればなおさら。

 

そのやれやれ系陰キャラ君は、その設定は正反対の設定である桜良に振り回され、影響を受けていくことがストーリーの肝のため陰キャラスタートなのは仕方が無い。
なので、読み進めるのが辛かったのが、後半にさしかかっていくにつれて、読むことがちょっとずつ苦痛じゃ無くなっていきましたが・・・・それでいいのか?

映画を見たスタッフは小説の方は途中で止めたと言っていたぞ。

とはいえ、それ以外にも文体や物語の流れも起伏が少なく、引き込まれる文章ではない。
最後のクライマックスで、映画を見たスタッフは「あれはないわー」と言っていた理由がわかって、それがスッキリしたけど、まあ桜良の幕引きがアレなのは、「ないわー」と「そーゆー幕引きもありかもね」と両方な気持ち。
「人は必ず死ぬ」こともテーマとなっているため、その予定された死ではない死も幕引きとしてはありだから、別に衝撃のクライマックスでもなく、あーそーきたか。程度。

やれやれ系から桜良を通じて人との関わりを脱却するコトになる主人公が、後に供病文庫を読み、感情の堰が切れ大泣きするシーンは、普通にうるっとするけど、
これは別にこれでなくてもこういうシーンは自動的に涙腺緩むよね、程度でしか無く、残念ながら目玉デトックスはなりませんでした。

主人公の名前が最後の最後で登場する、それまでは伏せ字のように【地味で根暗なクラスメイト】だったり【酷いクラスメイト】だったり【仲良し】だったり【??????】だったりと、その伏せ字のような代名詞が、主人公の時間の変遷や相手からのイメージを描いたつもりなんだろうけど、伏せ字にする、最後に名前を登場させる、という意図がよくわからず、逆に名前がないことと、陰キャラであることから、少なくとも前半はまったく感情移入が出来ないという事態に。

僕は、漫画だろうと小説だろうと気に入ったら複数回読むし、面白い媒体は何度読んでも面白さが褪せないのですが、この小説は二度読む可能性は、ないだろうなぁ・・・。
設定からも文体も中高生向けかな?
まぁ読むことを止めてしまった小説もたくさんあったので、読み終えただけ良いか。短いしね。

 

この死ぬ陽キャラ少女と、陰キャラ少年という設定で、なら「四月は君の嘘」(新川直司、講談社)の方が泣けまくりましたよ。漫画だけど。アレは名作。

これに限らず音楽漫画の名作って漫画なのに、曲なんてわからないのに、音楽が聞こえてくる感じがするのは何ででしょうね。作者の力か。