ヴェニスの商人って・・・

きくドラというサイトがあって、youtubeでも公開しているのですが、ラジオドラマで聞く、名作文学、だそうです。

何本か聞いていて、分数が短いのでいろいろ割愛してあるんでしょうけど、名前だけは知っていたけど中身を知らない、という作品がわかった気になるよいサイトです。
audibleの一人朗読と違って複数の男女の声優さん?がやるので判別しやすいし。

とりあえず聞いた中で引っかかったのが、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」

 

親友バサーニオのためにユダヤの金貸しシャムロックに、自分の肉1ポンドを担保に金を借りた商船オーナーの主人公アントーニオが、商船が難破したらしく金を返せないことがわかった。
シャムロックはアントーニオが憎いからあくまで肉1ポンドを要求。法廷闘争に。
法廷で裁判官はシャムロックに、神へ近づくためにアントーニオへの慈悲を求めるが、シャムロックは法に則りあくまで肉1ポンドを要求。
シャムロックの言い分が全面的に認められたため、いざナイフを手にアントーニオへ。
と思いきや、裁判官「正確に肉1ポンド。血の1滴すら流してはいけない」と要求した担保を正確にと逆用。
当然そんなことは出来ないので、シャムロックは諦める。
すると難破した商船が無事帰ってきた知らせをアントーニオは受ける。
「借りた金、返した方がいいかな?」
「いいんじゃない?返さなくても」
「そだねー」
で、大団円。

 

えーーーーっ???

シャムロック可哀想すぎない??
これでいいの??

と、やっぱり割愛しているからかなぁ? シャムロックはそれだけのことをされるだけの人物かも?

だったら、とkindleで「新訳 ヴェニスの商人」(シェイクスピア、河合祥一郎、角川文庫)を購入。大した長さじゃないのでサクサク読み終えたのですが・・・もっと酷かった。
酷いと感じるのは、その時代背景や宗教的関係を考慮すべき事なんだろうけど、現代的感覚ではアントーニオはアホだし、バサーニオも同程度、シャイロック(シャムロック)の方が比較的当たり前。

 

ポーシャという親から相続した大金もあり、容姿も性格も非のつけどころがないという設定の美女に、金も無いのにプロポーズしようとするバサーニオ(一応ポーシャと相思相愛)は親友のアントーニオに金を借りようとするが、
船が出ていて用立てできないアントーニオは、船が帰ってきたら金なんてすぐ用立てできるはずだからとユダヤの金貸しシャイロックに3000ダカットという大金(?)を借りようとする。
そもそもアントーニオはシャイロックを犬呼ばわりするし足蹴にもするしツバを吐いたりと人非人扱いしていて、しかも金利無しで借りることもしばしば。
この時点でアントーニオのこと支持できない・・・。
だから、シャイロックはアントーニオを憎む理由はありまくり。でもって、きっかり肉1ポンドと悪意剥き出しな要求。
でもアントーニオはアホだから船帰ればいくらでも払えるぜ、ふふふん、と借用証明書に署名。

ところが、アントーニオの船が難破したらしい凶報の噂がでてくる。
シャイロックはやったぜ!

ところでポーシャはそんな絶世の佳人なので金持ちやら王族やらのプロポーズたくさん。親父の遺言で金の箱、銀の箱、鉛の箱とそれぞれ謎解きのような文言が添えられていて、認める箱をずばり当てたらポーシャを嫁にしていいよ、という親父の大きなお世話遺言で多くの求婚者を振っていくのだが・・・・ポーシャの求婚者への評価の言い方が裏でズケズケ酷く言う性悪女のそれ。ほんとに性格よいの?

で、バサーニオが来て、ポーシャはバサーニオと結婚したいから微妙にヒントを与えて上手いこと正解の箱を当てて結婚する。

そして親友アントーニオが窮地に立たされているという話をバサーニオはポーシャに言うと3000ダカット程度?倍にも十倍にしても返せるわ、と親からの相続金を恋は盲目とばかりに使おうとする。ホント性格悪くない?この女。
そもそもバサーニオも金目当てでポーシャと結婚しようとしたんだよね・・・。

しかも、法廷闘争になるとわかるや、公爵の用意した青年裁判官のふりしてポーシャが法廷上に出て裁こうとする。
シャイロックはあくまで法に則り証文通り肉1ポンドを要求。神に近づけるよ、慈悲を与えないか? 3倍の9000ダカットで手を打たないか?と裁判官(の振りをしたポーシャ)が言うがシャイロックは突っぱねる。

当然、法の下、シャイロック勝訴。
アントーニオすっかりあきらめの境地で、なんか美意識に酔っているようなコト言ってる。
ナイフを手に欣喜雀躍したシャイロック、ところが裁判官の言う血1滴すらこぼすな、正確に1ポンドだと無茶ぶりに、だったら諦める、9000ダカットでいいや、と言うも、

ダメ、肉1ポンド。それが出来ないなら財産全没収!
そもそも肉1ポンドを要求するってことは殺人をしようとするも同然だから、ヴェニスの法律だとシャイロックの財産半分をこの場合はアントーニオに、残り半分は国庫に収める処罰に処す。
ポーシャは、その処罰をどうする?とアントーニオに聞くと、
アントーニオは、半分は許すが、半分は私が管理してシャイロックの死後、娘を奪った男性(紳士)に与えましょう。ただし、キリスト教徒に改宗すること、と死後財産を男性に譲る証書を書かせましょう。

公爵はそしようそうしよう。よいか?ユダヤ人?

シャイロックもじゃぁそれでOK。

というシャイロック踏んだり蹴ったり。
それ以外にもシャイロックの娘は自分の親がユダヤ人であることを憎み、紳士(キリスト教徒)と駆け落ちする、というエピソードも絡んだりしていて、

 

どうにも、キリスト教徒は絶対善、ユダヤ人は絶対悪、という前提条件があるような。

よく陰謀論に「ユダヤ人」というのが出てきますが、ユダヤ人とはいったい?
とWikipediaで検索すると、ユダヤ人という人種ではなく、ユダヤ教徒のことであり、イエス・キリストを告発したこともありキリスト教徒から忌むべき存在となっているようで、次第に差別がひどくなり、まともな職につけなくなって、やむなく金貸し等金融関係の職につくケースが多い、とのこと。

・・・・火種つくったの・・・キリスト教のほうじゃない??もっとも宗教的なことはちょっと見知ったくらいでいろいろ言ってはいけないんだけど。

 

と、纏めきれないので長くなったけど、きくドラのおかげで、本をちゃんと読み知り、そこからの疑問で更に知識が広がりました。
名作を知る、という導入としては非常によい媒体だと思います。

ちょっと割愛しすぎな気もするけど、ヴェニスの商人、酷い名作だ。