魔王+グラスホッパー=魔王~juvenile remix~

伊坂幸太郎氏の「魔王」でもあり伊坂幸太郎氏のでもない「魔王」というか。でも伊坂幸太郎氏の「魔王」であります。

とワケのわからん書き方をしましたが、
ここでいうのはマンガ版、伊坂幸太郎×大須賀めぐみの「魔王~juvenile remix~」の魔王です。

 

後書きでは魔王のマンガ版のコンペに大須賀めぐみ氏が出して、これがスタートしたらしいのですが、原作の「魔王」をベースに踏襲しながらも、もう一つの伊坂作品「グラスホッパー」も上手く融和させているのですよ。

融和と言うより分解して煮込んで溶け込ませた新たな「魔王」

 

原作の「魔王」はサラリーマンの安藤が、すでに有名な政治家になっている犬養、そのカリスマ性と扇動性によって国民が流される洪水のようになってきている事に、安藤はある意味勝手に危惧して、安藤のちっぽけな能力「腹話術」を手に、勝手に犬養と(洪水のような状況に)対決しようとていく。
それを不安視した犬養の(勝手な)守護者、バー「ドゥーチェ」のマスターは、安藤を不安視し、そんな中、安藤は対決しようとして事ならず勝手に満足して死んでいった、という第一部と、
5年が経過し安藤の弟潤也が、兄の遺志を知り汲んで兄の死後に得た1=1/10という確率変動能力を使ってクラレッタのスカートを直すために何かしているっぽい。というお話。

 

原作の「グラスホッパー」は理不尽に殺された妻の復讐に走る鈴木が、不穏当な企業「令嬢(フロイライン)」に入社し、そこの社長のバカ息子への復讐の機会を伺っていたら目の前でバカ息子が交通事故で死んだ。「押し屋」と呼ばれる殺し屋に車の前に押されたらしい、そして鈴木は押し屋とおぼしき男を尾行する。
一方「蝉」と呼ばれるナイフ使いの殺し屋は上司(依頼をマネージメントする)岩西に使われていることに鬱屈を抱いていて、あるとき知った一流の殺し屋「押し屋」を殺したら見返せるだろうと動き始める。
更に一方「鯨」と呼ばれる「自殺屋」は対象者に死にたがらせる何かを与える能力?で今まで強制的に自殺をさせてきた人々の幻覚を見る。次第に幻覚と現実の境界線が怪しくなってきている中、過去の清算として自殺させ損なった、というより自殺させる前に対象者を押されて殺され、依頼を失敗した原因を作った「押し屋」と対決することで過去を清算しようとする。
その三者の視点で書かれて事態は一点に集束していく。というお話。

 

マンガ版「魔王」は高校生の安藤は平穏にそして両親を事故で亡くしたことで弟と必死で日常を生きてきた。その猫田市では都市開発の名目で外資のアンダーソングループが乱開発を行い、でも猫田市自体は衰退し治安も悪くなっていく中、自警団「グラスホッパー」の代表犬養が、アンダーソングループを弾劾していく。
猫田市に巣くう不良どもを粛正する犬養の裏の顔を知った安藤は犬養賛美の状況を危惧していく。知人が犬養に心酔し変貌し、アンダーソングループの息子が言われなき暴力を受けることで安藤は犬養と対決する。その安藤を不安視する喫茶店「ドゥーチェ」のマスターは安藤を消そうと殺し屋「蝉」に依頼する。またアンダーソングループも能なし市長を消そうと自殺屋「鯨」を雇う。そんな状況が錯綜する中、犬養はそれを神様のレシピとして自分のなすべき事を進めていき、安藤を自分のリトマス試験紙として見る。安藤は犬養と対決していく・・・
更に第二部では潤也はその1=1/10の能力を使い押し屋である槿(あさがお)と会い、蝉とも会い、劇団を駆使し令嬢と対決し、犬養とも対決していく。

 

マンガ版魔王は、グラスホッパーのキャラクターや、彼らの語る言葉のオンパレード。黒いバッタの話や、対決すること、令嬢の社長のバカ息子の出現、「消灯ですよ」の言葉、グラスホッパーでのバカ息子の殺され方を違う人がそのシチュエーションを使って殺されたり。
誰かが言った言葉が魔王で違う誰かの言葉として出てきて、それが違和感が無い。
マンガ版の犬養は何歳だよ?とか何で安藤を認めたの?とか矢印の入ったジャケットのセンスの悪さとか、なんでスズメバチは変態なの?とか多少の突っ込みどころがあるけど、

原作小説「魔王」だって、そんなに群衆が洪水のように犬養に心酔するかなぁとか安藤の空回りっぷりとかの突っ込みどころもある。

そして、マンガ版の超能力大戦というか、安藤の腹話術というちっぽけな能力を最大限に活かした戦い方とか、ドゥーチェのマスターも能力者だし、潤也だって1=1/10という確率変動能力を使って他の能力者を使っていく、原作二つと違ってマンガ版は融合し少年誌向けにすることでジェットコースターのごときスピードで話が展開していく。

 

マンガ版を読んで、小説の二つを読んで、そしてまたマンガ版を読むと、どこにどう引用したのか、どこに誰がでて誰がどの言葉を使ったのかがわかりにやりとしっぱなし。
どうも伊坂幸太郎作品の他のキャラクターもマンガ版では参戦(というか特別出演というか)しているらしく、気になるところ。

言っちゃ何だけど、マンガ版の方が原作小説二つより面白いかな。原作小説二つでは魔王よりグラスホッパーの方が面白いと感じました。
それにしてもマンガ版、人死にすぎ。巨乳女子高生大好き島さん・・・・・。

人死にすぎ、拷問もあるので、サクラの待合室には置けないねぇ・・・